鮮やかな婚約指輪
||難しそうですね。
単純ですよ。
常に原点を考えればいいんです。
昔話になりますが、私はリクルート時代、就職情報誌をつくっているそばで、進学ブックを創刊する仕事をしました。
就職情報誌は進学希望者も就職させようという雑誌だから、利害が反するので猛反対されたんですけど、私はこう考えたんです。
「ほとんどの人は就職か進学かで迷うはずだ」と。
ここが私の言う原点です。
就職情報誌だけ提供するのでは中途半端です。
入り口で解決してあげないと。
それはちょっと長い目で見れば、会社のチャンスを広げることでもあったんです。
同様に、ブライダル業界は結婚しない人が増えて全国的に苦戦していますよね。
だったら、結婚したくなるよう気持ちをくすぐるのが原点。
また、「披露宴をするより、新婚旅行にお金をかけたい」と思っているお客さまに費用ややり方をアピールするのもナンセンスとしか言いようがありません。
「なぜ披露宴を開くことが大切なのか」という考え方から入らなければなりません。
ーーなるほど。
「大婚礼展」などはその仕掛けの一つですね。
原点回帰の発想がマーケティングにもつながっている気がします。
宿泊にしても、県外のお客さまが圧倒的多数。
つまり、地元の人は泊まっていないということなんです。
福岡県下500万人のうち叩%が利用していただければ、うちのホテルはフル回転になるのですから、このマーケットも掘り起こす必要があります。
手軽に異なる日常を楽しむ場としてアピールしようと、ホテル稼働率向上のための企画商品にも力を入れています。
会社再建の鍵は、問題意識と社内コンセンサスの統一福岡ダイエーホIクスをICに地域の一体感を膨らます。
T副社長は、盛岡の岩手ホテル&リゾートの代表取締役を兼任されているわけですが、福岡はビジネスを行ないやすい土地ですか。
福岡と盛岡って、すごく似ているんですよ。
中央に対していい意味でコンプレックスを持っていて、いい意味で自立したいと思っている。
それができていないところもそっくり(笑)。
私も中央コンプレックスの強い人間ですから、すごく共感しますね。
プロ野球の12球団のうち、本州以外にあるのは福岡ダイエーホ−クスだけでしょう。
私はそこがたまらなく好きなんですよ。
1999年は日本一を勝ち取ったし、優勝パレードや経済効果もすごかった。
これこそ九州のプライドです。
福岡ダイエーホ−クスをICチップに、お客さまとホ−クスタウンの一体感をさらに高めていきたいと考えています。
||若年の経営者へひと言工−ルを頂けますか。
現代は明治維新や戦後に例えられることが多いようですが、私は1905年以降の日清・日露戦争の後に酷似していると思うんです。
成功体験をもとに今は何とかなるが、将来が何か不安という感じ。
歴史に学ぶなら、価値や基準の大逆転が起こるのはこれからかもしれません。
経済界で言えば、中堅クラスの企業がいろんな形で伸びてくる予感がしますね。
地域社会に特化していても、ITにより効率的にコミュニケーションが図れるようになりましたから、現象はたちどころに広がります。
情報発信力が高くなったんです。
よく東京はどうだとか、アメリカンスタンダードをグローバルスタンダードと勘違いしたりする人がいますが、そうではない。
地域社会に役立つことを本気で考え続けたなら世界規模で開花する、そんな時代が来ると感じています。
私は、「会社を再建する」というような考え方はよくないと思っています。
なぜなら、私が福岡の3点セットで仕事をすることに、シ−ホ−クホテルや福岡ド−ムの社員を含めて地元の人たちが歓迎するわけはないからです。
組織はどんな状態でも基本的には新しく外から入ってくる人に対しては、仮に普段バラバラであったとしても、そのときは結束して一枚岩になります。
私が福岡に行ったときも状況は全く同じでした。
普段経営者とぶつかってもおかしくない労働組合でさえも、このときは社長を守るという錦の御旗を立てて抵抗するのです。
T氏の言うことを聞いてはいけない、踊されてはいけないと:今一番の片腕になってくれている幹部でさえ、「T氏の話は聞いてもいいが、聞いたことは実行するな」というお触れを回していました。
メインパンクである銀行の役員も、「岩手からそんな人を呼ばなければ立て直しができないなら、今計画している第三フェーズの融資はストップする。
つなぎ資金はもう貸さない」と、赴任したその日に中内羽会長と中内正社長に申し入れをしてきました。
一見悔しい話ですが、こういう話は相手の立場からすればもっともな話です。
経営内容をよくするということは、従業員の数を減らさなければならないかもしれないし、「今まで以上に働いてほしいが給料は必ずしも上げられない」と言いに行くことになるかもしれないわけですから、来られる側からすれば面白くない話であり、不安な話であるわけですから、基本的には賛成してくれるはずはありません。
そういう中で仕事をしていかなければならないわけですから、「再建する」という言葉は絶対に使つてはいけないわけです。
なぜなら、その言葉の中には「今までやっていたことは間違いである。
これからは違うやり方でいくから、私の一言うことを聞いてくれ」。
再建という言葉の裏には、そういう意味がどうしてもつきまとうものです。
たかが言葉かもしれませんが、言葉は非常に大切で、後々その言葉が原因でいろんなことがやりにくくなってしまうことがあるからです。
私はシ−ホークホテル、福岡ド−ム、プロ野球球団福岡ダイエーホ−クスの三つの事業にかかわるにあたって最初に大切にしたいと思ったことは、「会社を再建することではない。
軌道修正することだ」ということです。
今までは今までで正しかった。
この正しい考え方が、時代とともに環境が変わってしまったため、必ずしも正しいとはいえなくなってしまったのです。
従って、この環境に対してきちっと対応するために、変えていくものを持たなかったら、せっかく努力していることがよい結果につながってこない。
成果として上がってこない。
こういう考え方をコンセンサスとしてお互いにしっかり共有しないと、この先へは進めないと思ったのです。
どんなにいい意思決定であっても、いい意思決定を選ぶということはほかのよいものを捨てることになります。
再建と言うと、いいものを見つけてそれを伸ばし、悪いものを見つけてそれを直すことと思われがちですが、それは間違いです。
意思決定とは、大切なものを得るために、ほかの正しいものを捨でなければならないということなのです。
例えば、花は全部美しいが、生け花の世界では最初に自分が心に留めた枝葉を選びます。
この枝葉の美しさを助けない美しさはすべて虚飾として取り除いていくのです。
美しいからといって何でも生けてしまったら、チグハグになってしまうからです。
そして、取り去った花を私は残花と考えていますが、この残花を生けるという気持ちがなかったら、本当の意味での生け花はできません。
別の言い方で言えば、意思決定100円ぐらいのものであれば、だれもそのことに反対しません。
これが100万円、200万円と単位が大きくなってくると、「自分ならこうする」という意見が必ずたくさん出てきます。
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